はじめての方へ ・ EA の選び方

バックテストの数字の読み方
PF・ドローダウン・勝率

EA の商品ページには、PF、最大ドローダウン、勝率、取引回数といった数字が並んでいます。どれも大事ですが、1つの数字だけを見て選ぶと、思っていたのと違うということが起こります。
このページでは、それぞれの数字が何を表すかと、どの順番で、どこを見ればいいかを、例の数字を使って説明します。このページの数字はすべて説明用の例です。

1バックテストとは(わかること・わからないこと)

バックテストは、過去の値動きで EA を動かしたらどうなったかを計算したものです。MT5 には「ストラテジーテスター」という機能があり、過去のデータで EA を早送りで動かせます。

わかることわからないこと
  • EA がどんな場面で勝ち、どんな場面で負けたか
  • 過去にどれくらいへこんだか
  • 取引の頻度、1回あたりの損益の大きさ
  • これからも同じ成績になるか
  • 過去に一度もなかった値動きへの強さ
  • 実際の口座での約定のずれ(滑り)の影響の全部

バックテストは「過去にこう動いた」という記録で、将来の約束ではありません。そのうえで、EA の性格を知るための一番の手がかりになります。

2見る順番

数字を読むときは、利益の大きさから見るのではなく、次の順番がおすすめです。

  1. 条件:いつからいつまで、どの業者のデータで、何ロットで測ったか(6〜7章)。
  2. 最大ドローダウン:一番へこんだ時にいくら減ったか。含み損込みの最大証拠金DDで、自分が耐えられる額か(3章)。
  3. PF と取引回数:プラスの度合いと、それが偶然でないと言えるだけの回数があるか(4・6章)。
  4. 年ごとの成績:特定の年だけで稼いでいないか(6章)。
  5. 最後に、利益の大きさ。

3最大ドローダウン(一番へこんだ幅)

ドローダウン(DD)は、口座のお金が、それまでの一番高いところからどれだけ減ったかです。最大ドローダウンは、測った期間の中で一番大きく減った幅です。

例

口座が 100万円 → 120万円 に増えたあと、90万円 まで減り、そのあと 150万円 になった。
このときの最大ドローダウンは、120万円 から 90万円 への 30万円(120万円の 25%)です。最後に 150万円 になっていても、途中で 30万円 減る時期があった、ということです。

最大残高DDと最大証拠金DD(ここがいちばん大事)

MT5 のテスターのレポートには、最大ドローダウンが2つ並びます。名前は似ていますが、見ているものが違います。

レポートの名前何を見ているか
最大残高DD
(残高ドローダウン 最大・Balance Drawdown)
決済が終わった取引だけで計算。まだ決済していない取引の含み損は入りません。
最大証拠金DD
(証拠金ドローダウン 最大・Equity Drawdown)
持っている取引の含み損も含めて計算(有効証拠金で計算)。実際に口座の余力がいちばん減った幅です。

含み損がどこまで膨らんだかは、最大証拠金DDを見ないとわかりません。最大残高DDは、決済した結果の数字なので、含み損を抱えている間のへこみが入らないからです。

例(取引を重ねる EA)

口座 100万円 で、買いを重ねて持っている間に、含み損が 40万円 まで膨らんだ。そのあと値段が戻り、全部を +5万円 で決済した。

  • 最大残高DD:0円(決済した取引に負けが無いので、残高は一度も減っていない)
  • 最大証拠金DD:40万円(40%)(含み損で口座の余力が 60万円 まで減った)

残高のグラフだけを見ると「一度も減らない EA」に見えますが、実際には口座の 4 割が含み損で動いていた時期があります。資金が足りなければ、戻る前に強制ロスカットになります。

取引をすぐ決済する EA では、2つの数字はあまり変わりません。一方で、取引を長く持つ EA や、ナンピン・マーチン・グリッドのように取引を重ねる EA では、2つが大きく違うことがあります。

商品ページのドローダウンがどちらの数字かは、注記で確かめてください。書いていなければ、最大残高DDの可能性があります。資金を考えるときは、最大証拠金DDを使ってください。

資金とのつながり

最大ドローダウンは、「この EA を動かすなら、少なくともこれだけは減ることを覚悟する」という目安です。これから先は、同じかそれ以上へこむこともあると考えてください。推奨資金は、この数字が資金の何割になるかから決めるのが一般的です。

4PF(プロフィットファクター)

PF = 勝った取引の利益の合計 ÷ 負けた取引の損失の合計

例

勝った取引の利益が合計 15万円、負けた取引の損失が合計 10万円 なら、PF は 15 ÷ 10 = 1.5。差し引き 5万円 のプラスです。

  • 1 より大きければ、その期間はプラス、1 より小さければマイナスです。
  • 同じ PF でも、取引回数が少ないと偶然の影響が大きくなります(6章)。
  • PF がとても高い(たとえば 3 や 5 を超える)場合は、期間が短い、取引回数が少ない、過去のデータに合わせすぎている(8章)、含み損が残高に出ていない(3章)、といった理由がないかを確かめてください。

あわせて見ると便利な数字

数字意味
期待利得(1回あたりの平均損益)総損益 ÷ 取引回数。スプレッドより十分に大きいかを見ます。1回あたりの利益が小さい EA ほど、業者のコストの違いで成績が変わりやすくなります。
リカバリーファクター総損益 ÷ 最大ドローダウン。例:総損益 50万円・最大 DD 20万円 なら 2.5。へこみに対して、どれだけ稼いだかの目安です。

5勝率は、損益の大きさと一緒に見る

勝率は一番わかりやすい数字ですが、勝率だけでは良し悪しは決まりません。1回の勝ちと負けの大きさが違うからです。

10回取引した例勝率1回の勝ち1回の負け10回の合計
EA A90%+1,000円−10,000円9,000 − 10,000 = −1,000円
EA B40%+3,000円−1,000円12,000 − 6,000 = +6,000円

勝率 90% の EA A はマイナス、勝率 40% の EA B はプラスです。「平均の勝ち」と「平均の負け」の比率(リスクリワード)と一緒に見てください。

勝率がとても高い EA は、小さな利益をこまめに取り、負けるときは大きく負ける形のことがあります。ナンピン・グリッド型に多い形で、こちらのページで詳しく説明しています。

6取引回数と期間

  • 取引回数が少ないと、成績は偶然に左右されます。コインを10回投げて表が7回出ても、表が出やすいコインとは言えないのと同じです。少なくとも数百回あると、性格が見えやすくなります。
  • 期間は複数年あると安心です。相場には、一方向に大きく動く年、狭い幅を行き来する年、急に荒れる時期があります。1つの相場だけで測った成績は、別の相場では通用しないことがあります。
  • 年ごとの成績を見て、特定の1年だけが大きなプラスで、ほかの年はほぼ横ばい、ということがないかを確かめます。

7テストの条件(業者・スプレッド・ティック)

同じ EA・同じ期間でも、条件が違えば数字は変わります。比べるときは、条件がそろっているかを見てください。

条件なぜ大事か
ティックのデータティックは、値段が動くたびの細かい記録です。MT5 には実際のティックを使うモード(Every tick based on real ticks)と、足のデータから値動きを作って補うモードがあります。補ったデータでは、値動きの順番が実際と違うことがあり、細かく売買する EA ほど結果がずれます。
業者・スプレッドスプレッドは取引のたびにかかる実質の手数料で、業者や時間帯で変わります。どの業者のデータで測ったか、スプレッドを固定にしていないかを見ます。複数の業者で測った結果があれば、より安心です。
ロットと初期資金ロットが2倍なら、利益もドローダウンも2倍です。金額だけでなく、資金に対する割合(%)で比べます。
設定値商品ページの成績は、決まった設定で測ったものです。設定を変えると、別の EA の成績と考えてください。

8最適化しすぎに注意

EA の設定値を、過去の成績が一番よくなるように細かく調整することを最適化と言います。調整しすぎると、過去の値動きにだけぴったり合った設定になり、これからの相場では成績が落ちやすくなります(カーブフィッティングとも呼びます)。

見分けるためのヒントです。

  • 調整に使っていない期間の成績が示されているか(たとえば、2020〜2023年で調整して、2024〜2025年で確かめる)。
  • 設定値を少しずらしても、成績が大きく崩れないか。
  • 設定項目が多すぎないか、数字が細かすぎないか(例:「期間 37」「倍率 1.73」のような値ばかり)。
  • グラフがきれいすぎないか。右肩上がりの一直線は、それだけで良いとは限りません。

9ロット固定か、増やしていくか

バックテストのロットの決め方は、主に2つあります。

  • ロット固定:最初から最後まで同じロット。年ごとの成績を同じ物差しで比べられます。
  • 資金に合わせて増やす(複利):資金が増えるほどロットも増える。グラフは後半ほど大きく伸びて見えますが、後半の損益やドローダウンの金額も大きくなります。

複利のグラフを見るときは、金額ではなく割合(%)で見てください。EA の実力を比べるなら、ロット固定の結果のほうがわかりやすいです。

10フォワードとの違い

フォワードは、EA を実際の値動きで動かし続けた記録です。バックテストと違い、作った後の相場で測るので、「過去に合わせすぎていないか」を確かめる材料になります。

  • フォワードの期間がバックテストより短いのは自然なことです。短い期間の成績は、偶然の影響も大きくなります。
  • デモ口座かリアル口座かで、約定の条件が違うことがあります。どちらの口座かを確かめてください。当社のフォワードはデモ口座で測っています。
  • バックテストとフォワードの取引の頻度や1回の損益の大きさが似ているかを見ると、バックテストが実態に近いかの手がかりになります。

11チェックリスト

  1. 期間・業者・ロット・テストの方法(実ティックか)が書いてある。
  2. 最大ドローダウンが、最大残高DDか最大証拠金DD(含み損込み)か確かめた。最大証拠金DDの金額を自分が耐えられる。
  3. PF が 1 を超えていて、取引回数が十分にある。
  4. 年ごとに見て、特定の年だけに頼っていない。
  5. 勝率を、平均の勝ちと負けの大きさと一緒に見た。
  6. 調整に使っていない期間の成績や、フォワードがある。
  7. デモ口座で、自分の環境で動くことを確かめた。

当社が EA を選ぶときに使っている基準は、採用基準で公開しています。

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各製品のページには、測った条件・最大ドローダウン・年ごとの成績を載せています。
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