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ナンピン・マーチン・グリッドとは
しくみと、見るべき数字

EA の説明でよく見る「ナンピン」「マーチン」「グリッド」。どれも、値段の動きに合わせて取引を何本も持つ方式で、似ている部分が多く、製品によって呼び方も違います。勝率が高く、グラフがなめらかになりやすい一方で、含み損の大きさを知っておくことが大切な方式でもあります。
このページでは、金(XAUUSD)の値段を使った数字の例で、しくみと、商品ページで見るべき数字を説明します。数字はすべて説明用の計算例です。

13つの違いは「3つの質問」で見分ける

3つは似ている部分が多く、同じしくみでも、作った人や売り場によって呼び方が違うことがよくあります。たとえば、量を増やして足す EA を「ナンピン」と呼ぶ人もいれば、一方向にだけ注文を並べる EA を「グリッド」と呼ぶ人もいます。名前だけで判断せず、次の3つの質問で見分けるのがわかりやすいです。

質問ナンピンマーチングリッド
①いつ取引を足す?逆に動いたら逆に動いたら値段ごとに、前もって並べておく
②足す量は?同じ量増やす(2倍など)同じ量が多い
③どう決済する?全部まとめて全部まとめて1つずつ、それぞれの利益で
  • ナンピンとマーチンの違いは②(量)だけです。逆に動いたら足して、平均の値段から少し戻ったところで全部まとめて決済する、という流れは同じです。
  • グリッドの違いは①と③です。値段ごとに注文を置いておき、それぞれが決まった利益に届いたら1つずつ決済して、また同じ場所に置き直します。上がっても下がっても、値段が行き来するたびに小さな利益を取る作りです。
  • 3つは組み合わせて使われることもあります。グリッドの量を増やしていけば「マーチン入りのグリッド」、ナンピンの量を増やせば「ナンピン・マーチン」と呼ばれます。

どれも、「値段が行き来する」場面で利益を積み重ねやすく、「一方向に大きく動き続ける」場面で含み損が大きくなる、という共通の性格があります。

計算例の前提

金(XAUUSD)は多くの業者で 1 ロット=100 オンスです。0.01 ロットなら、値段が 1 ドル動くと損益が約 1 ドル動きます。以下の例はこの前提で計算しています(スプレッドは省いています)。

2ナンピン(同じ量で買い足す)

2,000 ドルで 0.01 ロット買い、そこから 5 ドル下がるごとに 0.01 ロットずつ、合計 5 回まで買い足す例です。

買値量1,975 ドル
での損益
1,950 ドル
での損益
2,0000.01−25−50
1,9950.01−20−45
1,9900.01−15−40
1,9850.01−10−35
1,9800.01−5−30
合計0.05−75 ドル−200 ドル
  • 平均の買い値は 1,990 ドル。1,975 ドルまで下がったあと、15 ドル戻れば損益がゼロに戻ります。最初の 1 回だけなら 25 ドル戻る必要があったので、早く抜けやすくなります。
  • 反対に、戻らずに 1,950 ドルまで下がると、含み損は 200 ドル。持っている量が 0.05 ロットなので、そこから 1 ドル下がるごとに約 5 ドルずつ増えます。

3マーチンゲール(量を増やして買い足す)

同じ値段で買い足しますが、量を 2 倍ずつ増やす例です。

買値量1,975 ドル
での損益
1,950 ドル
での損益
2,0000.01−25−50
1,9950.02−40−90
1,9900.04−60−160
1,9850.08−80−280
1,9800.16−80−480
合計0.31−285 ドル−1,060 ドル
  • 平均の買い値は約 1,984.2 ドル。1,975 ドルから約 9.2 ドル戻れば損益がゼロに戻ります。ナンピン(15 ドル)より、さらに少しの戻りで抜けられます。
  • 一方で、同じ値動きでも含み損はナンピンより大きく、1,950 ドルでは 1,060 ドル(ナンピンの約 5 倍)。持っている量が 0.31 ロットなので、そこから 1 ドル下がるごとに約 31 ドルずつ増えます。
  • 量を増やす倍率(2 倍、1.5 倍など)と、足す回数の上限で、性格が大きく変わります。

4グリッド(値段ごとに注文を並べ、1つずつ決済)

グリッドは、たとえば 5 ドルごとに注文を並べておき、それぞれの取引が +5 ドルに届いたら、その1つだけを決済して、また同じ場所に注文を置き直す方式です。方眼(グリッド)のように注文が並ぶので、この名前があります。

同じ値動きで、ナンピンと比べる

2章と同じく 2,000・1,995・1,990・1,985・1,980 ドルで 0.01 ロットずつ買い、値段が 1,980 ドルまで下がってから 2,000 ドルまで戻った場合です。

ナンピン(2章)グリッド
決済のしかた平均 1,990 ドルから +5 ドルの 1,995 ドルで5つまとめて決済1,985・1,990・1,995・2,000 ドルで、1つずつ +5 ドルで決済
決済した利益+25 ドル(1回)+20 ドル(4回)
2,000 ドルに戻ったとき取引は残っていない。次の買いから始め直す2,000 ドルの1つが残る。決済した場所には注文を置き直してあり、また下がればもう一度利益を取れる
  • 一定の幅を上下する相場では、同じ場所で何度も決済できるので、小さな利益が積み重なります。
  • 一方向に動き続ける相場では、決済されない逆向きの取引が残って増えていき、含み損の増え方はナンピンと同じになります。
  • 買いと売りの両方に並べる形、片方だけの形など、製品ごとに作りが違います。片方だけに並べる形は、見た目がナンピンとほとんど同じになるので、呼び方が人によって分かれやすいところです。迷ったら、1章の③(まとめて決済か、1つずつか)を見てください。

5勝率が高く、グラフがなめらかになりやすい理由

この3つの方式は、少し戻れば利益で決済できるように作られています。値段はたいてい行ったり来たりするので、利益で終わる回数が多くなり、勝率は高くなりやすいです。

また、含み損を抱えている間に決済しないので、残高(決済が終わった分)のグラフは右肩上がりのなめらかな線になりやすくなります。その裏で、口座の余力(有効証拠金)は大きく上下していることがあります。

そのため、この方式の EA の数字は、最大証拠金DD(含み損込みのドローダウン)と一緒に見ることが大切です。勝率だけで比べると、性格を見誤りやすくなります(勝率の見方)。

6商品ページで見るべき数字

見るところ理由
最大証拠金DD
(含み損込み)
この方式では、最大残高DDは小さく出やすく、含み損の深さは最大証拠金DDにしか出ません。商品ページの DD がどちらかを確かめてください。
足す回数の上限・量の増やし方何回まで足すか、量を何倍にするかで、一番深い時の含み損が決まります。
損切りのしくみがあるか一定の損失や回数で全部を決済するしくみがあるか。あると損失の上限が見えやすくなります。
推奨資金と、その根拠どれくらいの値幅まで耐えられる資金なのか。
一番悪かった時期どの年・どの相場で深くへこんだか。大きく一方向に動いた時期を含めて測っているか。
知っておいてほしいこと

取引を足していく方式は、値段が戻らずに大きく動き続けると、含み損が急に大きくなります。口座の余力が足りなくなると、業者が保有中の取引をまとめて決済すること(ロスカット)があり、そのときはそれまでの利益を上回る損失になることがあります。推奨資金と既定のロットを守ることが、この方式を使ううえでの前提です。

7使うときの考え方

  1. 推奨資金以上で、既定のロットから。ロットを 2 倍にすると、含み損も 2 倍になります。
  2. まずはデモ口座で。含み損がどれくらいの幅で上下するかを、実際の画面で見ておくと安心です。
  3. 口座の余力(証拠金維持率)をときどき見る。MT5 の下のツールボックスの「取引」タブに出ます。
  4. ほかの方式の EA と組み合わせるのも一つの方法です。性格の違う EA を合わせると、口座全体の上下がならされることがあります(ポートフォリオシミュレーターで試せます)。

ナンピン・マーチン・グリッドは、しくみを知って資金を合わせれば、行って戻る相場で着実に利益を積み重ねることを目指せる方式です。数字の見方がわかれば、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。

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