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インジケーターは、本当に稼げるのか
実データで測った結果
「RSI が 30 を切ったら買い」「ボリンジャーバンドの外に出たら逆張り」「長いヒゲは反転のサイン」。よく紹介されるこうした使い方を、金(XAUUSD)の実際の値動きで、同じ条件をそろえて測ってきました。
このページでは、その結果をまとめて、インジケーターとの付き合い方を説明します。結論を先にいうと、サインが出たところで入るだけでは、何もしない場合との差は見つかりませんでした。そして、本当に優位性のある使い方があるなら、それは言葉にして EA にできるはずだ、というのが私たちの考えです。
1インジケーターは「判断を助ける道具」
インジケーターは、過去の値段から計算した線や矢印をチャートに出すものです。移動平均線は「ここ何本かの平均の値段」、RSI は「上がった幅と下がった幅の割合」を、見やすい形にしています。
つまり、インジケーターが使っている材料は、チャートに出ている値段そのものです。新しい情報を足しているのではなく、同じ情報を見やすく整理しています。そのため、
- 相場の状態(上向きか、動きが大きいか)を一目で確かめる
- 決めた条件になったら知らせてもらい、ずっと見張らなくてよくする
- 自分の判断を毎回同じ基準で行う
といった使い方では、とても役に立ちます。一方で、「矢印が出たら入れば勝てる」かどうかは、別の問題です。それを確かめるには、実際に測るしかありません。
2どうやって測ったか(「何もしない場合」と比べる)
「サインが出たあと 55% 上がった」と聞くと、よく効いているように見えます。ですが、サインに関係なく、どこで入っても 55% 上がる相場だったら、そのサインには意味がありません。
そこで私たちは、サインが出た場面と、同じ時間帯・同じ曜日・同じような相場の「何も起きていない普通の場面」を比べています。差があるときだけ「効いている」と判断します。
- 測る前にルールを決めて記録する。結果を見てから条件を変えると、どんなデータからでも「勝てるルール」が作れてしまうためです。
- 差が出なかった結果も公開する。うまくいった結果だけを見せると、実際より良く見えてしまいます。
- 同じ値動きを何度も数えない。サインが続けて出ても、独立した場面だけを数えます。
くわしい測り方は、ゴールド相場とEAの検証・研究と統計用語の説明にまとめています。
3よく知られたサインを測った結果
金(XAUUSD)の 5 分足、約 7 年分のデータで測った結果です。
| よくいわれること | 測った回数 | 結果 |
|---|---|---|
| RSI が 30 以下なら反発しやすい | 3,619 | 普通の場面と差なし |
| ボリンジャーバンド 2σ に触れたら戻る | 19,934 | 中心へ戻る割合は、バンドを見ない場合とほぼ同じ |
| 長いヒゲは反転のサイン | 39,271 | 同じ値幅の普通の足と差なし |
| レンジを抜けたらトレンドが出る | 12,480 | 抜けた直後に逆へ戻る割合は、普通の場面とほぼ同じ |
| 小さな初動はそのまま伸びる | 8,261 | 初動の向きは、その先をほとんど教えていない |
| 値動きが小さくなった後は大きく動く | 6,963 | 予想と逆。その後の値幅はむしろ小さめ |
| 上位足と向きを合わせると有利 | 47,808 | どちらとも言えない(前提が定まらない) |
| 前日の高値・安値を抜けたら伸びる | 1,417 | どちらとも言えない(1 分足では順番が確定できない) |
はっきりした差が出たのは、時間帯によって値動きの大きさが違う(いちばん活発な 22 時台は、静かな 6 時台の約 4.57 倍)という相場の性質のほうでした。これは「どの向きに動くか」を教えるものではありません。
ローソク足のパターン 75 通りも測りました
ダブルボトム、三尊、包み足など 75 通りのパターンを、4 銘柄・約 8 年のデータで、合計 27 万回測りました(ローソク足のパターンで勝てるは本当か?)。
- 「よく勝てる」といわれる定番 19 パターンの勝率は、約 40〜57%でした。
- どこで入っても、同じルールなら勝率は約 46%(スプレッドがかかるぶん 50% より少し下がります)。
- 回数の多いパターンほど、この「何もしない場合」との差は ±1 ポイントほどに収まりました。
「インジケーターは役に立たない」という意味ではありません。わかったのは、よく知られたサインを、そのまま入る合図にするだけでは、優位性は見つからなかったということです。銘柄・時間足・期間が違えば結果は変わりえますし、取引のコストはこの研究には含めていません。
4差が出にくい理由
- 材料が同じだから。インジケーターは値段から計算しているので、チャートを見ている人全員が同じものを見ています。誰でも見える情報だけで、ほかの人より先に動くのは難しくなります。
- 有名なサインほど、多くの人が使うから。みんなが同じところで入ると、その動きは値段にすぐ反映されます。
- 入る場所だけでは決まらないから。利益は「どこで入るか」だけでなく、「どこで決済するか」「どれだけの量を持つか」「取引のコスト」で決まります。サインはそのうちの一部しか決めていません。
- 「よく当たった例」は目に入りやすいから。チャートの説明では、サインがうまく働いた場面が選ばれがちです。外れた場面も全部数えると、印象とは違う数字になります。
5「組み合わせれば勝てる」「裁量で使う」なら
インジケーターは、ほかのインジケーターや自分の判断(裁量)と組み合わせて使うものだ、という考え方もよく紹介されています。実際に、組み合わせや裁量で成績を残している人もいます。
ここで大事なのは、その組み合わせや判断を、言葉で書き出せるかどうかです。たとえば、
「RSI が 30 を切って、4 時間足の移動平均が上向きのときだけ買う。重要な指標の前後 1 時間は入らない。損切りは直近の安値の下、利確は損切り幅の 1.5 倍。」こう書ければ、これはもう「ルール」です。
「なんとなく形が良い」と感じる判断も、よく見ると「直近の高値を 2 回試して抜けなかった」「下ヒゲが続いている」のように、言葉にできることが多いものです。
そして、ルールになった判断は、過去の何千回分の場面で同じように使ったらどうなったかを確かめられます。もしそこで優位性が出れば、本物の可能性が高く、出なければ、それまでの好成績は時期や運によるものだったかもしれません。
経験から来る判断の中には、うまく言葉にできないものもあります。ただし、言葉にできない判断は、本人にとっても「本当に効いているのか」を確かめる方法がありません。他の人がインジケーターだけをまねても、同じ判断にはならない点にも気をつけたいところです。
6言葉にできる判断は、EA にできる
EA(自動売買)は、言葉にしたルールを、MT5 が代わりに実行するプログラムです。本当に稼げる判断があるなら、EA にして全自動にすることで、次のような利点があります。
- 過去のデータで確かめられる。何年分ものティックデータで、そのルールの成績・最大証拠金DD・取引回数を出せます。
- 毎回同じように実行される。疲れや迷い、損をしたあとの焦りが入りません。
- 見張らなくてよい。夜中や仕事中のサインも逃しません。
- あとで改善できる。どの条件が効いていて、どこで負けているかを、数字で比べられます。
私たちの EA は、すべてこの考え方で作っています。ルールを言葉にして、過去の実ティックで測り、最大証拠金DDや年ごとの成績と一緒に公開しています。測って優位性が出なかった案は、製品にしていません。
インジケーターの製品(GOLD PULLBACK ARROW INDICATOR、GOLD SCALP RADAR INDICATOR など)は、相場の状態を一目で見る・条件を見張らずに待つための道具として出しています。「矢印に従えば勝てる」ものとしては扱っていません。自分の判断を補う道具として使い、その判断が固まったら EA にして確かめる、という使い方を想定しています。
7インジケーターを選ぶ・使うときに見るところ
| 見るところ | 理由 |
|---|---|
| サインのあとの結果が、全部数えてあるか | うまくいった場面だけを選んだ説明では、実力はわかりません。期間を決めて、その間のサインを全部数えているかを見ます。 |
| 「何もしない場合」と比べてあるか | 勝率 55% でも、どこで入っても 55% なら意味がありません。 |
| あとから矢印が消えたり動いたりしないか | 足が確定する前の値段で計算するインジケーターは、過去のチャートで実際より良く見えることがあります(リペイント)。 |
| 決済と量のルールまで決まっているか | 入る場所だけでは損益は決まりません。 |
| 取引のコストを引いても残るか | 回数の多い使い方ほど、スプレッドの影響が大きくなります。 |
インジケーターは、使い方がはっきりしていれば、相場を見る手間を大きく減らせる道具です。「これで勝てる」と感じた使い方があれば、ぜひ言葉にして、測ってみてください。
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自分のルールを EA にして、過去のデータで確かめたい方へ。
私たちが EA を作るときに使っている解析・検証の道具一式を公開しています。